キャラクターイラストの世界に初めて足を踏み入れると、その魅力に引き込まれることでしょう。すっごく可愛いキャラクターを自分の手で描けたらどれほど楽しいか…想像するだけでワクワクしますね。しかし、いざ描き始めると、思った通りに線が引けなかったり、バランスが崩れたりと、様々な壁にぶつかることも多いでしょう。そんな時、頼りになる最強の練習が「模写練習」です。
模写練習は、プロのイラストレーターも通ってきた道であり、初心者にとって非常に有効な練習方法です。しかし、「本当に模写で上達するの?」「どれくらいやればいいの?」と疑問を持つ方も多いかもしれません。この記事では、キャラクターイラスト初心者が模写練習を取り入れるべき理由や、効果的な取り組み方、そして模写だけで上達するのかについて、詳しく解説していきます。初心者でも楽しく、そして確実にスキルアップできる方法を一緒に見ていきましょう。
この記事を書いている私は37歳の会社員。キャラクターイラストを描き始めた初心者です。イラストを描き始めた当初はこんな感じ…。
しかし、試行錯誤しながら練習を始めて5ヶ月でこんな感じになりました。
キャラクターイラスト初心者は模写練習をしたほうがいい理由5つ
1. 基本的な技術の習得
模写練習を通じて、基本的なデッサン力や線の引き方、陰影の付け方などの技術を効率よく学ぶことができます。プロのイラストをそのまま真似することで、上手な人がどのように描いているのかを直接学び取ることができるのです。特に色塗りの部分がとても勉強になります。これは、基礎を固める上で非常に重要です。また、デジタルイラストソフトの使い方も模写を実行していく中で試行錯誤しながら覚えていくことができます。本当に一歩一歩わからないことをクリアしていく地道な作業で結構大変ですが、やっていれば嫌でも慣れてくるものです。
2. 観察力の向上
模写練習は、観察力を養う絶好の機会です。細部まで注意深く観察し、それを再現する過程で、形や構図、バランスなどの理解が深まります。観察力が向上すれば、自分のオリジナル作品を描く際にも役立ちます。オリジナルを描く時には結局、資料を用意して、その資料を注意深く観察し、その特徴を捉えて自分のイラストに落とし込む作業になります。ですから、観察眼を鍛えておくことはイラストレーターにとって最強のステータスになると言えます。この力を鍛えておかない手はないでしょう。
3. 自信の向上
初めてキャラクターイラストを描くときは、自分の技術に自信が持てないことが多いですが、模写練習を重ねることで少しずつ上達を感じることができます。完成度の高い模写作品ができると、それが自信につながり、さらに練習を続けるモチベーションとなります。私も最初は本当に「手のつけようがない…」と落ち込みましたが、頑張って模写を続けた結果を堂々とこのブログに載せることができるまで成長できました。本当に自分でも信じられないくらいです!あーもちろん「でも模写は模写じゃん。オリジナルじゃないなら意味ない!」なんてストイックな方もいることでしょう。でもね!でも!「模写だからこんなクオリティ高いのか〜!」なんて嫌味を言われたらニヤリと笑ってください。「模写で表現できるクオリティは、自分が将来描くことになるオリジナル作品でも出せるクオリティ」だと言うことです!逆を言えば「模写でもできないのに、それ以上の力はでなくね?」ということになります。迷わず自信を持って取り組んでくださいね!
4. 多様なスタイルの習得
模写を通じて、さまざまなアーティストのスタイルに触れることができます。これにより、自分の引き出しが増え、最終的にはオリジナルのスタイルを確立するための基盤となります。いろいろなスタイルを試してみることで、自分が本当に好きなスタイルや得意な表現方法を見つけることができます。描けそうなものを描いているうちは、そのうちつまらなくなるものです。人生もイラストも「新しいものを求めて試行錯誤していくから楽しい!」と私は思います。「あの人の絵ってかわいいな〜!なんであんなにかわいいんだろ〜〜??」という純粋な気持ちをきっかけにして「ちょっと模写してみようかな」と軽い気持ちで模写しちゃってください。
コラム:模写と音楽の共通点
実は私、昔ロックバンドをやっていて、自分のオリジナル曲をたくさん作っていました。でも当然最初からオリジナル曲ができたわけではありませんでした。好きな音楽を聴いて「このフレーズどうやって弾いているんだろう?」「このフレーズをモチーフにして自分なりに昇華できないか?」とギターを持ってフレーズをコピーして弾いては、自分の持ちネタとして頭の中にストックしておいたのです。そしていざ、自分の曲を作る時に「あ!そういえばここにあのフレーズを使ってみようかな!」と自分の引き出しから出すように使用することができます。そう、何が言いたいのかというと「模写は自分の引き出しを増やせる超効率的な作業だ」ということです!
5. 総合的な成長の実感
模写練習を続けると、最初は難しかったことが次第に簡単に感じられるようになります。この成長を実感することで、自己効力感が高まり、継続して努力する意欲が湧いてきます。成長を実感することは、上達の一番の原動力です。
どうやって模写練習したらいいの?
1. 必要な道具と環境
- デジタルツールの紹介:タブレット、スタイラスペン、イラストソフト(Clip Studio Paint、Photoshopなど)。
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- 快適な作業環境の作り方:明るい照明、適度な温度、整理整頓されたデスク。
2. 模写する対象の選び方
- 好きなキャラクターや尊敬するアーティスト:モチベーションが上がる対象を選ぶ。めちゃくちゃ重要なので、嘘偽りなく好きだ!と思えるキャラやイラストレーターさんを選んでくださいね!有名だとか無名だとかは関係ないです!また、ポイントとしては「一人のイラストレーターさんに絞る」ということが重要です。何故なら我々初心者はベースとなる技術が皆無なので、最初から色んなアーティストさんの違う絵柄を模写すると技術が定着し辛くなってしまいます。「え?でも手癖がついちゃうんじゃ…」なんて心配する必要はありません。たしかに一人のアーティストの手癖を模写すれば1人分ですが、模写をマスターすることによって「あの人の手癖もあの人の手癖も自分のものに…!ぐっふっふ…」という野望も抱けるわけです。でも最初からそれはマジで無理。ただ模写するだけでも結構大変なので、それ以外はシンプルに攻めるのが正解です!
- 難易度の調整:初心者は徐々に複雑なものに挑戦する。「描きたいものを描く」というのが前提なので、別に最初から複雑でもいいです。が!おすすめは「顔のアップ」とか「胸から上、バストアップ」など模写する場所を限定したほうがおすすめです。何故なら模写とは言え初心者は「自分が思っている数倍は時間がかかる」からです。ですから「キャラクターと人形は顔が命」「顔さえ可愛ければなんとかなる!」と言われているくらいなので、その辺りを中心にした部分的な模写から開始するほうが良いでしょう。
参考:私の場合
模写の対象:吉田明彦さんを始め、サイデザインさんが好きなので「グランブルーファンタジー」のグラフィックアーカイブを購入しました。模写したいページをスマホカメラで撮影して模写のお手本にしました。
難易度:原画は全身イラストだったのですが「まず可愛い顔が描きたい!」という切なる希望があり、バストアップで描くことにしました。
3. キャラクターイラストのデジタル模写のやり方・手順
- 模写したい画像を準備してデバイスに読み込む
上記は画集をスマホカメラで撮ったものをパソコンに読み込みました。それをクリスタに読み込んで、キャンバスの真横に表示します。見本は絶対真横に表示してください。何故なら、人間の脳はほんの一瞬で見たものを忘れてしまうからです。また、見本と自分の描くキャンバスを観る比率は7:3くらいで見本を観る時間のほうを長く取ってください。というかなるべく見本だけ見てください。 - 見本を参考に下書きを描く
見本を穴が空くほど見ながら頑張って下書きを描きます。迷い線だらけでもいいです。自分で色んな描き方を試すべきですが、ポイントは「キャラの輪郭」と「キャラの外側の空間」をよく観察して全体像を決めて行くことです。線色は水色がおすすめです。薄い色のほうがあとで上から清書するときに見やすいからですね! - 下書きに薄い色で下塗りをする
下書きは線だけでなく中を塗りつぶすことで形が捉えやすくなります。こうすることでさらに違和感をあぶり出します。中には「ここが違うけど、よく見るとここも……ここも」と連鎖的に間違った部分が見つかることもあるでしょう。すごく疲れますが、とにかくこの段階で形を直しまくります。デジタルならではの「切り貼り」「変形」に始まり、画面に定規をあてたり、見本に線を引いてズレている部分を探したり、どんな手を使ってもいいので形を直します。ただし、補助線は段階的に使っていくことが練習の効果を高める秘訣です。最初からグリッドなどを使ってしまうと観察力が鍛えられません。ちなみに下書きを使ってまた上から下書きを描くのもあり。私は最低2回は下書きします。また、下塗りはしっかり隙間なく塗り込みましょう!ここは踏ん張りどころ!頑張っていきましょう!
- 線画の清書、ペン入れ
下書き線をきれいにまとめればまとめるほど、この作業は楽になるはずです。この工程は、あなたが選んだ見本の個性により描き方等は色々違うでしょう。ですが、やっぱりそうは言っても「どうやってやるんだよ〜〜〜!」という声が聞こえてきそうなので参考までに私の現在の描き方を示しておきます。
ペンツール:Gペン
太さ:1.5〜8くらいを使いわけます。
不透明度:40〜50前後上記の設定で私はペン入れをしています。ただ、私も初心者なのでこれからもっと変化していくと思います。あと賛否あると思いますが、適宜手ぶれ補正をガンガン活用すべきだと個人的には思います。 - ベタ塗り
線画が描けたらベタ塗りしていきます!塗りつぶしツールやペンツールを使ってむらなくベース色を塗っていきます。レイヤー分けしながら塗り進めればあとから色変更も可能ですし、この後の工程で影色などの重ね塗りが発生します。ですからどんどん進めていきましょう!
- 影入れ
ベタ塗りした色に立体感を加えるために影色を足していきます。影色を塗るために便利なのがレイヤーマスクです。この機能をうまく使いながら、影を入れていきます。
- 色トレース
色トレースとは、線画に色をつける手法のことです。見本の線画ってよく見ると黒の部分もあれば茶色の部分とか、そもそも線がなくない?みたいな部分もあると思います。それに全部が黒い線だと「形は合っていると思うんだけど、なんだかなぁ…」という感じで違和感がありますよね。そこで、線画レイヤーの上に新規レイヤーを作成し「クリッピングマスク」を使って線画の色を任意の色に変更する技法「色トレース」を行っていきましょう。 - ハイライトなど仕上げ
さて、いよいよ仕上げです!個人的にはこの段階は頑張ってきたご褒美に値する工程で、すごく楽しいです。光沢を表現するハイライトをはじめ、見本に近づくためにさらに色を重ねたり、画用紙風のマスクをかけてアナログイラスト風を演出したり…。最後まで見本をよく見て、できる限り見本に近づけるよう色々なことを試しましょう!お疲れ様でした!
4. 効果的な練習方法
- 時間管理:一回の練習時間を30分から1時間程度に設定し、集中力を保ちます。
- 定期的な練習:毎日少しずつでも継続することが大切です。
- フィードバックを得る:他人に見てもらったり、SNSでシェアして意見をもらいましょう!
5. モチベーションの維持
- 進捗記録:練習の成果を記録し、自分の成長を確認しましょう。完成したイラストに対して気づきや反省点などを文字に起こしておきましょう。
- 短期目標と長期目標:目標を設定して達成感を味わうのも大事です。
- コミュニティ参加:同じ趣味を持つ人との交流で刺激を受けますし、あのレオナルド・ダ・ヴィンチは手記に「一人より複数人で描くほうが絵の上達は早い」と残しています。
6. コツと注意点
- 焦らないこと:模写とは言え最初は非常に時間がかかるため、焦らずにじっくり取り組みましょう。
- 失敗を恐れない:失敗を学びの機会と捉え、改善していく姿勢を持ちましょう。
- 違和感に敏感になる:違和感を放置せず勇気を持って改善に取り組みましょう。繰り返せば嫌でも慣れてきます。
7. 実際の模写例
- 具体的なステップを写真や動画で紹介:実際の模写のプロセスを見せることで理解を深めましょう。今、まさに私がやっていることですね。
- ビフォーアフターの比較:前の模写と後の模写を比較して成長を実感しましょう。
キャラクターイラスト模写はどれくらいやればいいの?
イラスト初心者が模写練習をすることが重要なのはわかったけど、どれくらい期間、どれくらいの量やればいいの?という疑問が湧いてきますよね。私が初心者なりに色んな方の意見を調べてみた結果、ざっくり言うと「模写練習に終わりはない」とのことでした。「おいおいおい!それじゃいつから描きたいオリジナル描けるようになるんだよ!」
…わかります。
しかしながら、イラストだけの話ではないですが「常に新しい流れを敏感に掴みそれを自分なりに消化していく」必要があるので、模写の能力を常に新鮮に保っておくことはとても重要です。とは言え、オリジナルをどのタイミングで描き出すか?という一つの指標もほしいですよね。この指標に関しては本当に十人十色なので、いくつか「オリジナルを描き出すタイミングの事例」をご提供できればと思います。
- 基礎が身についたと感じたとき
- 模写がスムーズにできるようになったとき
- 自己表現の欲求が強くなったとき
- 他人からのフィードバックで自信を持てたとき
- 新しい技術やスタイルを試したいとき
- イラストコンテストやプロジェクトに参加したいとき
上記のようなタイミングでオリジナル作品に移行すると良いと思います。ちなみに、どの項目が自分にとって重要か考えることも大切ですよね。たとえば私にとっては「イラストの基礎」と同時に「30分〜1時間で模写の線画がほとんど完成できるレベルのスムーズさ」が身についたらオリジナルに入るタイミングだと個人的には感じています。また「1000枚描く」など枚数を決めるのも良いのですが何にせよ「模写のクオリティを担保」した上で実行しないと自身の力になりませんから注意が必要です。それにオリジナルに移行したあともクロッキーなどの「簡単な観る練習」は毎日継続すべきでしょう。
模写だけやってればキャラクターイラストはうまくなる?
模写はキャラクターイラストを描きたい初心者にとって、最強の基礎構築練習なのは言うまでもありませんが、もちろんそれだけではあなたが描きたい「あなたが唯一生み出せるキャラクターを創造するための技術」には届きません。技術を身につけるには鍛錬だけでなく知識も必要です。模写練習をやりながら、または目標をいち早く達成して以下のようなことにも挑戦していくべきでしょう。
キャラクターイラスト上達に必要な練習や物事
- デッサン練習
- 基本的な形状、構造、比率の理解
- クロッキー(短時間で多くのポーズを描く)
- 人体解剖学の学習
- 骨格や筋肉の構造
- 人体の動きやポーズの理解
- 観察力の向上
- 実際の人や物の観察
- 自然や日常風景の観察
- オリジナルキャラクターのデザイン
- キャラクター設定(性格、背景、ストーリー)
- ポーズや表情のバリエーションを描く
- 色彩と陰影の練習
- カラー理論の学習
- 光と影の描き方、立体感の表現
- 構図の勉強
- 効果的なレイアウトやフレーミング
- 視線誘導やバランスの取り方
- 背景と環境の描写
- キャラクターを引き立てる背景の描き方
- 環境との一体感を持たせる
- ストーリーテリング
- キャラクターを通じて物語を語る技術
- シーンや状況設定の練習
- テクスチャとディテールの描写
- 衣服や髪の質感表現
- 細部のディテールにこだわる
- フィードバックの受け取り
- 他のアーティストや友人からの意見をもらう
- 批評を受け入れ、改善点を見つける
- 参考資料の活用
- 教材やチュートリアルで技術を学ぶ
- アートブックやオンラインリソースからインスピレーションを得る
- コミュニティの参加
- アートコミュニティやフォーラムでの交流
- コラボレーションやチャレンジに参加する
- 継続的な練習
- 毎日の練習を続ける
- 新しい技術やスタイルに挑戦する
これらの練習や学習を組み合わせることで、キャラクターイラストのスキルを総合的に向上させることができます。色々とありますよね。最初からこれを全部やるのは本当に無理ってもんです。だって初心者は「描くこと自体に慣れてない」んですもん。模写練習を通して「イラストに取り掛かること自体のハードルを下げる」ことで、新しい目標に向かって頑張れるというものです。私もその一人。あなたのことも心から応援していますよ!
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